記事の監修
S.Sato
記事の監修
S.Sato
マネジメント&イノベーション事業部 開発部/2グループ グループマネージャー
資格:Microsoft Offiece Specialist Master 2007、ITパスポートなど
2022年よりMicrosoft365とPowerPlatformの案件を担当。
それ以前は業務・Web系システムを要件定義からリリースまでの開発に従事。
IT業界歴15年の経験を活かし、PJを牽引し後続の育成にも力を注ぐ。
趣味は散歩で、思考が煮詰まった際には、近所の緑道を散歩し、新たな発見や自然からのインスピレーションを受けている。
この記事では、テレワークにおける課題を解消するためのポイントやテレワークの導入を成功させるポイントについて解説します。
Contents
目次
テレワークにおける課題とは
まずは企業が直面するテレワークにおける課題とはどのようなものがあるかご紹介します。
コミュニケーション課題
テレワークでは、オフィスであれば簡単に行えるコミュニケーションが取りづらいといった課題があります。
直接会って会話をすることができないため、オフィスであればすぐに聞ける質問などもチャットなどを使う必要があり、気軽にコミュニケーションを取ることが難しくなります。
また、要件を伝える際にも、チャットなどを使用して文字で伝える場合、正しいニュアンスが伝わりづらい場合もあります。
その結果、チーム内での情報共有やコミュニケーションが上手く行われず、生産性の低下や社員のモチベーション低下に繋がってしまう恐れがあります。
テレワーク環境の構築やルール決めにおける課題
テレワークを導入する場合、テレワーク環境を整える必要があります。
まずは、PC、Wi-Fi、机、椅子など仕事をする上で必要な物を揃えなければいけません。
既にそういったテレワークに必要な物や環境が整っている方もいればそうでない方もいると思います。
テレワーク環境を整える際に企業がどこまで負担するのかについても決めなければなりません。
また、テレワーク時にweb会議などを行う際はどういったツールを使うのかについてや、どのような形で報連相を行うのかなどのルールについても決める必要があります。
必要に応じては、システムやツールの導入も検討する必要があるでしょう。
テレワーク環境の構築・整備もテレワーク導入における大きな課題の一つです。
セキュリティにおける課題
テレワークでは、社内外から社内システムにアクセスする事が増えるため、情報漏洩のリスクが高まります。
オンライン上でデータのやりとりなどを行う場合は、少なからずセキュリティリスクが伴います。
安全ではない回線で通信を行うことで、通信内容が傍受されてしまったり、アクセスIDやパスワードの漏洩によって情報が流失してしまったりする可能性もあります。
セキュリティ対策はテレワークを行う上で、非常に重要な課題です。
セキュリティ対策に詳しくない場合、セキュリティ対策に詳しいITベンダーに対策を依頼するのも一つの方法でしょう。
業種や職種による課題
テレワークは業種や職種によって導入が難しい場合があります。
製造業、サービス業、建築業、医療・福祉関係などは、現場や対面での接客や作業が必須のためそもそもテレワークを導入することが難しいです。
一方、IT業界などはテレワークを導入しやすい業界です。
しかし、IT業界と言ってもさまざまな職種があります。
エンジニアやデザイナー、事務職などはパソコンがあれば作業ができるので最もテレワークに向いている職種と言えるでしょう。
しかし、営業職などは営業や商談のために出社しなければいけないケースも多く、テレワークを導入するのが難しい場合もあります。
また、エンジニアやデザイナーなどは成果物があるのでテレワークでも仕事の評価をしやすい部分がありますが、営業職の場合、こういった明確な成果物がない場合もあるので評価しづらい点もテレワーク導入が難しい点として挙げられます。
このように業種や職種によっても、テレワークの導入に様々な課題があります。
会社の中でも職種によってテレワークを導入している部署とそうでない部署が出てくることで、社員によっては不公平感を感じて不満が出てくるケースも考えられます。
企業や部署によって、ルールを定め社員に理解を求めることが必要です。
テレワークにおける課題の解決策
ルールの策定と徹底
テレワークではテレワークルールの策定とそれを徹底することが重要です。
テレワークの場合、社員の勤務状況や業務状況を可視化することが難しくなります。
またコミュニケーションロスなどで情報共有が上手くいかなくなるケースもあります。
そういった事前に想定されるリスクを解消するためにルールを決めることが重要です。
例えば、その日の業務内容を可視化するために部署やチームのメンバーでの朝の報告会を実施したり、コミュニケーションロスを無くすために定期的に部下と1 on 1のWEBミーティングを行ったりするなどの対策が有効でしょう。
部署や業種によってどのようなルールをどこまで細かく決めるかなどは変わってくると思います。
テレワークを導入する場合は、事前にしっかりとしたルールを策定し、そのルールに基づいて業務を行うことで、テレワークで起こりうるリスクを解消できるでしょう。
セキュリティルールの徹底と社員教育
テレワークを実施する上でまず懸念されるのが、セキュリティリスクです。
セキュリティリスクとは、情報漏えいやデータの不正使用などで損害や影響が発生する危険性のことです。
テレワークで例えば社内サーバーにアクセスする場合、様々な場所からインターネット回線を通してアクセスすることになります。
暗号化されていない通信手段からアクセスした場合などに、通信内容を傍受されてしまう危険性もあります。
安全な通信を行うために社内サーバーにアクセスする場合は、VPNを利用するなどの対策が必要です。
また、社員のセキュリティに関する知識が乏しい場合もリスクになり得ます。
セキュリティリスクを減らすためにも、必要最低限のセキュリティ教育を行うことが大切です。
ペーパーレスや電子印鑑の利用
ペーパーレスや電子印鑑を活用することもテレワークにおいては重要です。
テレワークを導入しても、書類提出や印鑑を押すために結局出社しなければいけないことがあります。
こういった状況にならないためにも、紙の書類でのやりとりをPDFファイルでのやりとりに変更するなどの対策が必要です。
テレワークを実現するためには、それと同時にペーパーレス化や電子印鑑の使用など、企業としてのDX化を進めることも重要です。
テレワークを成功させたい場合は、社内DX化についても見直してみることをおすすめします。
テレワーク助成金の活用
テレワークを導入する際には、厚生労働省や経済産業省などのテレワーク助成金制度を利用できる場合があります。
これは、テレワーク環境の構築やセキュリティ対策のためにかかる費用に対して、国が助成金として補助してくれるものです。
近年テレワークの導入が推奨されており、こういった助成金制度が存在します。
テレワークを導入する際には、是非助成金の活用をご検討してみて下さい。
テレワークを成功させるマネジメント方法
スケジュール管理(タスクの見える化)
テレワークではどうしても社員の業務状況が見えづらくなります。
社員のタスクをしっかりと見える化して、スケジュールを管理することがテレワークでは重要です。
例えば、朝の報告でその日の一日のスケジュールを共有したり、カレンダーツールでその日のスケジュールを部署内で共有したりといった方法があります。
このように、テレワーク時には普段よりも細かく社員のスケジュールを管理することが必要です。
また、スケジュール管理はどんな作業をしているかを見ることも大事ですが、その一方でタスクを抱えすぎて長時間労働になっていないかなども見る必要があります。
テレワークは基本的に家で作業を行うので、オンオフの切り替えがしづらく、結果的に長時間労働になってしまうというケースも考えられます。
その場合、社員のモチベーション低下などに繋がってしまうこともあります。
社員のスケジュールを適切に管理することで、社員がサボったり働きすぎたりといったことを回避する事ができるでしょう。
コミュニケーションロスを無くす
テレワークでは、直接社員と顔を合わせることがないので、何気ないコミュニケーションが減少します。
テレワークの場合、社員の不安や疑問に思っていることなどに気付きづらく、社員の何気ない変化を見落としてしまう可能性もあります。
テレワークが向いている社員も入れば、コミュニケーションが不足して気落ちしてしまう社員もいるでしょう。
テレワークによって、生産性やモチベーションが低下しないように、いつも以上に積極的にコミュニケーションを取る意識を持つことが大切です。
例えば、1 on 1 ミーティングの実施、チャットツールの常時接続、チャットツールの積極的利用など、コミュニケーションロスをなくすための施策は様々です。
どういった対策が良いかに関しては、企業文化や社員によっても変わってくるので一概には言えませんが、コミュニケーションロスをなくすための自社に合った施策を取り入れることがテレワークを成功させる上で重要です。
評価基準を明確にする
テレワークでは、評価基準もテレワーク用に変えなければいけない部分もあるでしょう。
テレワークの場合、実際の作業やプロセスがあまり見えないため、そういった部分の評価をつけることが難しくなります。
基本的には、成果による評価が軸になってくるでしょう。
評価基準が曖昧だと社員のモチベーションにも影響します。
テレワークでも、適切な評価をできる評価基準や評価方法を検討しましょう。
テレワークを効率化するための手法や考え方
テレワークを効率化するには、下記のような手法が有効です。
自社に合ったテレワークを模索する
自社に合ったテレワークを構築することで、効率化に繋がるでしょう。一口に「テレワーク」といっても、そのやり方やアプローチは千差万別なため、自社にとっての「テレワーク」を定義する必要があります。
検討したい項目としては、下記のようなものが挙げられます。
- 完全にリモートにするのか、それとも定期的な出社を含むのか
- オフィスの扱いをどうするか
- リモート下においてのコミュニケーションはどうするのか
完全にリモートに移行できればよいのですが、業務の都合によっては出社する必要があるかもしれません。その場合、どのようなワークスタイルを構築するかが重要になります。
特定の従業員ばかりに出社させるのは、公平性の面から妥当ではないかもしれません。あるいは、出社する従業員とリモートで業務を行う従業員間の待遇の差をどうするかといった問題もあります。
他にも、オフィスにどのような役割をもたせるか、リモート下でのコミュニケーション方法はどうするのかといった部分も考える必要があります。全てにおいて満点を目指す必要はありませんが、できる限り自社に合ったやり方を模索することが大事です。
セキュリティを保護する
テレワークでは、それぞれの従業員がインターネットを通じて社内システムにアクセスすることが多いのではないでしょうか。インターネットを活用することで、遠く離れた人同士でもコミュニケーションを取り業務を行えるメリットがあります。
しかし反面、セキュリティに気を配らないと情報漏えいなどのリスクが生じるでしょう。テレワークを問題なく遂行するためには、セキュリティを強化し社内の情報やデータを保護する必要があります。
一般的に、セキュリティを強固にすればするほど利便性は下がり、逆も然りです。セキュリティと利便性のバランスを考え、可能な限り支障のないようポリシーを構築することが求められます。
システムを活用する
システムを活用することで、テレワーク下での生産性向上に役立ちます。現代ではテクノロジーの進歩により、従来では難しかったさまざまなことが実現可能になりました。
遠隔間でのコミュニケーションやファイルのやり取りが可能になったのもそうですし、さまざまな情報を瞬時に共有できるようになったことも該当します。それらを可能にしたのが業務システムやツールであり、テレワークを行う際はなくてはならないものと言えるでしょう。
テレワークの課題解決に導くシステム活用
テレワークには、システムの活用が必須です。
テレワークに必須のITツールについてご紹介します。
チャットツール
チャットツールは、テレワークには必須のツールです。
有名なチャットツールの例としては下記があげられます。
- Microsoft Teams
- Slack
- Chatwork
チャットツールでは、チャットに加えビデオ通話やオンライン会議などテレワークに必須の機能を兼ね備えています。
コミュニケーションや情報共有をするために多くの企業が既に導入されていると思いますが、
もしまだ導入していない企業はすぐにでも導入すべきツールです。
CRM/SFA
CRM/SFAとは、顧客関係管理システムと営業支援システムのことです。
CRM/SFAでは、顧客情報をシステムで一元管理する事ができ、その情報を元に営業マンが適切な営業活動を行うことができます。
スケジュール管理や商談管理などもシステム上で行うことができるので、営業マンのスケジュール管理や商談状況なども一目でわかります。
テレワーク時には、システム上で様々な情報を可視化できるCRM/SFAの活用は非常におすすめです。
進捗管理ツール
進捗管理ツールとは、その名の通りプロジェクトや課題の進捗を管理するツールです。
テレワークの場合、気軽なコミュニケーションが取りづらい分、進捗状況の細かい管理などが難しくなります。
そこで、進捗管理ツールを使うことで、プロジェクトや課題の進捗を可視化することができ、進捗状況を細かく共有することができます。
プロジェクトの遅延などを発生させないためにも、分かりやすい進捗管理ツールを利用することが大切です。
勤怠管理ツール
テレワークでは、出社してタイムカードを押すことがないので、システム上で社員の勤怠管理ができるツールが必要です。
また、テレワークでは業務状況があまり見えません。
オフィスワークの場合は、状況が目に見えるので勤務状況を把握しやすいですが、テレワークの場合はそうではありません。
定められた勤務時間に勤務しているか確認することはもちろんですが、過度な残業を行っていないかなどもしっかりと把握する必要があります。
勤怠管理ツールを利用して、社員の勤務状況を適切に管理しましょう。
セキュリティ対策ツール
セキュリティ対策ツールを導入すれば、セキュリティが甘くなりがちなテレワーク環境を保護することができます。テレワークはリモート環境で業務を遂行できる非常に便利なワークスタイルですが、各々が異なるデバイスやインターネット通信を使うため、不正アクセスや情報漏えいのリスクが高まります。
セキュリティ対策ツールを活用することで、システムやネットワークのセキュリティ保護に繋がるでしょう。分かりやすいところでいうと「ウイルス対策ソフト」が上げられますが、より広範にセキュリティを保護してくれるものも存在します。
自社のニーズに基づき、適切なものを選ぶことが大事です。
デバイス管理ツール
デバイス管理ツールを導入することで、業務に利用する端末を適切に管理することができます。テレワーク下ではさまざまな端末からのアクセスが想定されるため、より精度の高いデバイス管理が重要になります。
原則的に、業務に利用するものは全て登録し管理しましょう。できれば、OSのバージョンやインストールされているアプリなども合わせて管理できるとベターです。
デバイス管理ツールにより適切なポリシーを設け、それに準拠していないアクセスをブロックすれば、情報やデータの安全性が高まります。
テレワークにおけるシステム活用のポイント
続いて、テレワークにおけるシステム活用のポイントをいくつかご紹介します。
適切な設定を行う
システムは、導入しただけで100%の真価を発揮するわけではありません。適切な設定を行い、正しい運用をすることで期待した成果を上げてくれます。
テレワークシステムにおける設定は、やはりセキュリティ関連になるでしょう。もちろん他にもさまざまなものがありますが、セキュリティ周りの設定を誤ってしまうと不正アクセスなどのリスクが上がってしまうため、特に気をつけたいポイントです。
デバイスの統制をとる
業務利用するデバイスの統制をとることで、さまざまなメリットがあります。一番は「セキュリティが強化される」ですが、他にも「互換性が向上する」「業務や情報伝達がスムーズになる」なども考えられます。
なぜデバイスを統制的に管理することでセキュリティが向上するのでしょうか。それは「ポリシーに準拠しないアクセスをブロックできる」からです。
業務に利用する端末が限定されていたとしても、OSのバージョンや種類、インストールされているアプリなどがまちまちになることがあります。デバイス(ハードウェア)の部分は信頼できても、ソフトウェア部分に脆弱性が存在することもあるため、内部まで統制し管理するのがベターというわけです。
なるべくプライベート領域を作らない
業務に利用するデバイスには、なるべくプライベート領域を設けないようにしましょう。プライベート領域というのは「端末管理者が私的に使っている部分」のことです。
業務に利用している端末を私的利用すること自体がそもそも問題ですが、BYOD(Bring Your Own Device)などを採用している場合はそうも言えません。業務に利用している端末には可能な限りプライベートな領域を設けないようにし、それが難しい場合は業務利用する部分と私的な部分をなるべく独立させましょう。
デバイス管理システムによっては、BYODのための機能が用意されているものもあります。必要に応じて検討するのもよいかもしれません。
まとめ
テレワークには、様々な課題があることがお分かりいただけたと思います。
しかし、適切な対応をすればそういった課題を解決でき、テレワークでもオフィスワークと変わらない生産性を維持することができるでしょう。
テレワークにおける課題を解決し、テレワークを成功させましょう。
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