Microsoft Dynamics 365で何ができるのか。活用ポイントや機能、メリットを解説

Microsoft Dynamics 365で何ができるのか。活用ポイントや機能、メリットを解説

March 5, 2021

記事の監修

S.Sato

記事の監修


S.Sato

マネジメント&イノベーション事業部 開発部/2グループ グループマネージャー
資格:Microsoft Offiece Specialist Master 2007、ITパスポートなど

2022年よりMicrosoft365とPowerPlatformの案件を担当。
それ以前は業務・Web系システムを要件定義からリリースまでの開発に従事。
IT業界歴15年の経験を活かし、PJを牽引し後続の育成にも力を注ぐ。
趣味は散歩で、思考が煮詰まった際には、近所の緑道を散歩し、新たな発見や自然からのインスピレーションを受けている。

Microsoft Dynamics 365をご存知でしょうか。WindowsやOfficeを開発しているMicrosoftからリリースされている業務用アプリケーションですが、Dynamics 365を活用することで、業務の大幅な効率化が可能です。

この記事では、Dynamics 365の概念、メリット、利用イメージなどを解説します。

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Contents

目次

Microsoft Dynamics 365とは何か?

まずは、Microsoft Dynamics 365の概念について解説します。

Microsoftが提供するCRM・ERPアプリケーション

Microsoft Dynamics 365は、Microsoft社が開発リリースしているCRM・ERPアプリケーションの総称です。CRMはCustomer Relationship Managementの略であり、直訳すると「顧客関係管理」になります。

CRMを意識することで顧客との関係を適切に保ち、売上や収益を最大化しようという手法です。一般的にCRMというとCRM(のための)システムを指すことが多く、当記事におけるCRMもそちらに該当します。

ERPはEnterprise Resources Planningの略であり、訳すと「企業の資源計画」といったものになるでしょう。企業の持つヒト・モノ・カネ・情報といった資源を適切配置し、有効活用を目指す手法です。

こちらも、ERPというとERPのためのシステム、すなわち「基幹情報システム」を差すことが多く、当記事でもそちらの意味で使っています。

事業分野ごとのパッケージがリリースされている

Microsoft Dynamics 365はそれ自体が一つのパッケージではなく、事業分野ごとに分割されてリリースされているのが特徴です。たとえば、下記のような事業領域のためのパッケージが存在します。

  • 営業(Sales)
  • マーケティング(Marketing)
  • 顧客サービス(Customer Service)
  • 財務(Finance)
  • カスタマーデータプラットフォーム

自社の特性に合わせたり、特に力を入れたい分野のみを導入することで、費用対効果を高めることができます。

価格は業務分野に応じて決定される

各事業領域ごとに分割されているMicrosoft Dynamics 365ですが、価格は導入するパッケージによって決定されます。たとえば、営業分野におけるSalesを導入する場合、ユーザーあたり¥7,070〜¥17,576/月で利用することができます。(2021年2月現在)

各プランによって値段は変わり、できることも変わってきます。たとえば、もっとも安価なDynamics 365 Sales Professionalではリード案件管理や簡易キャンペーンの実施は可能ですが、電子メールインテリジェンス機能やパートナーリレーションシップ管理は付帯していません。

自社の都合に合わせ、適切なパッケージに対するプランを選択することが大事です。

Dynamics 365でできること

では、次にDynamics 365でできることについて見ていきましょう。Dynamics 365は事業領域ごとにパッケージングされているため「何ができるか」が非常に広範囲になりますが、一般的なものをかいつまんで説明します。

さまざまな業務の効率化

Microsoft Dynamics 365を導入することで、さまざまな業務の効率化が可能です。たとえば、営業のためのSalesを導入すれば効率的な顧客管理から営業活動管理、AIによる会話インテリジェンスの活用などを行うことができます。

そして、マーケティングのためのMarketingではカスタマーエクスペリエンスの適切な提供、Salesと連携させることでシームレスなマーケティング〜営業管理を行うことが可能です。Microsoft Dynamics 365の機能をどのように活用するかは企業や部署によって異なりますが、導入すれば業務効率化の強い味方になってくれるでしょう。

データの一元管理

Microsoft Dynamics 365を導入することで、さまざまなデータを一元管理することができます。Dynamics 365は事業領域ごとに異なるモジュールがリリースされており、多くは相互連携が可能です。

データを一元管理することによるメリットには、下記のようなものがあります。

  • 複数のシステムで同じデータベースを参照するため、データの同一性が高い
  • リアルタイムで最新のデータを取得することができる
  • 更新やアップデート、バックアップなどの手間を節約できる

もし複数のシステムでデータを個別に管理していると、一箇所の変更をそれぞれ別個に適用しなければなりません。「Aシステムは最新の値になっているがBシステムでは古いまま」という事態も発生し、システム全体の同一性に難が生じる可能性があります。

Officeアプリとの連携

Microsoft Dynamics 365では、Officeアプリとの連携も可能です。Dynamics 365に入力されている顧客データをExcelから分析・活用することも可能ですし、Outlookと連携してCRMとスケジュールを同期させることもできます。

使い慣れたOfficeアプリを活用することで、Dynamics 365の利点をより発揮させることができるでしょう。同じMicrosoft製品ということもあり、シームレスな連携が可能です。

Dynamics 365を活用するメリット

では次に、Dynamics 365を活用するメリットについて解説します。

必要な分野の最適化

Microsoft Dynamics 365を活用することで、必要な分野を最適化することができます。Dynamics 365は各業務分野ごとにモジュールがリリースされているため、必要な部分のみを契約し業務効率化を図ることが可能です。

「全ての業務分野を最適化したい」と思う人もいるかもしれませんが、費用対効果を考えると現実的ではないかもしれません。もちろんそのような考え方を全て否定するものではありませんが、最初は小さくスタートし、少しずつ変化させるのが業務改善のセオリーです。

業務効率化・生産性向上

Microsoft Dynamics 365を適切に導入および活用することで、業務効率化および生産性の向上が見込めます。Dynamics 365は最新のテクノロジーを駆使したインテリジェンスなCRM・ERPなので、今まで手が届かなかったような高度な活用を模索できる余地もあるでしょう。

Dynamics 365を正しく活用できれば、デジタルトランスフォーメーションの推進にも役立ちます。各種業務の自動化やデジタルでの管理、データの一元化、AI活用など、多くの面で効率化および生産性の向上が見込めます。

顧客満足度の向上

Microsoft Dynamics 365のメリットとして、顧客満足度の向上も挙げられるでしょう。たとえば、SalesとMarketingを組み合わせシームレスな顧客体験を提供できれば、フェーズ変更などによる業務の停滞を防ぎ、顧客のストレス低下に繋がります。

また、AIによるインテリジェントな提案を活用することで、顧客ニーズに沿ったアプローチを行うことも可能です。従来は担当者の経験や勘によって判断されていた部分をシステムやデータによる客観的な判断に置き換えられれば、対応品質の均一化も見込めます。

Dynamics 365の具体的な機能(一例)

では、次にDynamics 365の具体的な機能についてご紹介します。

各種データの統合

Microsoft Dynamics 365を活用すれば、さまざまなデータを統合して一元的な管理が可能です。たとえば、Customer Data Platformを導入すると、顧客の取引や行動、統計データからプロファイルを作成し、分析やマーケティング、広告に活かすことができます。

統合されたデータを活用することで、どのようなメリットが生じるのでしょうか。たとえば、下記のようなものが挙げられます。

  • 顧客それぞれに沿ったエクスペリエンスの提供
  • 客観的指標を元にした意思決定
  • 詳細で精緻な分析

デジタル化がスタンダードになった現代において、データの業務活用はマストと言って過言ではないでしょう。

販促および購入のデジタル化

Dynamics 365を使えば、販売促進から購入までを完全デジタル化することが可能です。Salesを利用することで、顧客の都合に合わせたデジタルエクスペリエンスを提供することができ、購買意欲の啓蒙から販売までをリモートで行なえます。

オンラインで物品を購入するのが珍しくなくなってきた昨今、プロモーションやアプローチまでをオンライン化することも選択肢の一つです。

サービスのパーソナライズ

顧客のアクションから得たデータを活用することで、サービスのパーソナライズが可能です。従来は顧客に対し均一的なサービスやアプローチを行うのがセオリーでしたが、今や顧客それぞれのニーズが細分化されているため、均一的な対応ではなかなか成果に結びつかなくなっています。

成約に結びつけるためには、各顧客のニーズに合わせたきめ細やかな対応を行う必要があります。幸い、業務がデジタル化されている現代ではちょっとしたアクションまでをデータ化することが可能なため、顧客ニーズを知る足がかりになるでしょう。

Dynamics 365を活用することで、得られた膨大なデータから適切にパーソナライズされたサービスやプランを構築することができます。

Dynamics 365の利用イメージ

では、最後にDynamics 365の利用イメージをご紹介します。

営業支援(Sales)

営業部門を強化するSalesを導入活用することで、顧客管理から関係性構築、キャンペーンまでをカバーし、営業活動をサポートすることができます。Salesを適切に活用できれば、従来は人の手で行っていた多くの業務を自動化でき、業務効率化に繋がるでしょう。

また、LinkedIn Sales Navigatorから購入可能性の高い人を特定し連絡先をDynamics365に保存したり、対象組織内の意思決定者の関係性を管理することも可能です。これらの機能を駆使することで熱量の高い顧客の選定→アプローチ→啓蒙→クロージングといった一連の流れをスムーズに進めることができるのではないでしょうか。

マーケティング(Marketing)

Marketingは、文字とおりマーケティング業務を効率化させるためのツールです。活用することで、顧客をパーソナライズすることができ、適切なタイミングで適切なチャネルからメッセージを送ることができます。

Salesと連携すればマーケティングから営業までをシームレスに管理することができ、顧客の満足度向上に寄与します。メールやWeb、イベントなどマルチチャネルで対象を絞ったキャンペーンを開催して見込み客を惹きつけ、パーソナライズされたエクスペリエンスで購買意欲の向上、そして評価が高くなったリードを営業に渡し商談に入る、というのがMarketingの一連の役割です。

顧客分析・サービス(Customer Data Platform)

Customer Data Platformを活用することで、顧客データをリアルタイムで連携し、精密なプロファイルを作成することができます。Insightsを使い顧客の取引や行動、統計データを取り込み最新の情報を取得し、それを元にAIが価値の高い顧客や解約可能性のある顧客を抽出することが可能です。

加えて、CustomerVoiceを使えば、顧客からのフィードバックをマルチチャネルで収集し、プロファイルを強化することもできるでしょう。Customer Data Platformにより顧客を精緻に追跡することが可能になり、顧客に対する理解を深めることができます。

まとめ

Microsoft Dynamics 365は、非常に優れた多機能ERP・CRMソリューションです。必要に応じて各アプリケーションを導入すれば、業務効率化や生産性向上に大きく寄与してくれるでしょう。

S.Sato

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