営業活動の可視化とは?可視化の概念や進め方、メリットなどを解説

営業活動の可視化とは?可視化の概念や進め方、メリットなどを解説

5月 11, 2021

記事の監修

S.Sato

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S.Sato

マネジメント&イノベーション事業部 開発部/2グループ グループマネージャー
資格:Microsoft Offiece Specialist Master 2007、ITパスポートなど

2022年よりMicrosoft365とPowerPlatformの案件を担当。
それ以前は業務・Web系システムを要件定義からリリースまでの開発に従事。
IT業界歴15年の経験を活かし、PJを牽引し後続の育成にも力を注ぐ。
趣味は散歩で、思考が煮詰まった際には、近所の緑道を散歩し、新たな発見や自然からのインスピレーションを受けている。

営業活動を可視化することで、営業プロセスにまつわるさまざまな問題を解決することができます。しかし、「業務の可視化とは?」「どのように可視化したらいい?」といった悩みを抱えている担当者も多いかもしれません。

この記事では、営業活動にまつわる悩みから「可視化」の概念、そのメリットや具体的な進め方などについて解説します。可視化にまつわる疑問を解消し、営業活動の効率化を目指しましょう。
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営業活動における悩み

営業活動には、どのような悩みが生じるのでしょうか。まずは営業活動における悩みや課題について解説します。

トップ営業マンが売上の大半を占めている

営業活動における問題点として、トップ営業マンに対する売上の依存が挙げられます。営業という仕事は個人による成果の差が激しく、一人の営業マンが全体収益の大半を担っているようなケースもあるのではないでしょうか。

その状態でも事業が回るのは回るのですが、安定性は欠いているといわざるを得ません。当の営業マンが成果を出せなくなったり退職したりした場合、事業が一気に傾いてしまうリスクを負っています。

「取引先を偏らせずうまく分散させる」のは事業継続の基本ですが、従業員に対しても同じことが言えるでしょう。

顧客情報や商談内容が共有できていない

顧客情報や商談内容を適切に共有できていないことも、営業活動における悩みとして挙げられます。情報を共有できていないと顧客の情報を担当営業マンが抱え込むことになり、当人がいないと顧客対応が難しくなってしまう恐れがあります。

それにより顧客対応品質にバラツキが生じてしまったり、担当営業マンに過度な負荷がかかってしまうなどのリスクが考えられるでしょう。全ての情報を完璧に共有するのは難しいですが、可能な部分は全体で管理しておくことが大事です。

マーケティングから営業の流れがスムーズでない

企業によってはマーケティングから営業の流れがスムーズでなく、そのせいで成約を取り逃していることもあるかもしれません。マーケティングは一般的に「見込み客を探し購買意欲を啓蒙する活動」であり、営業は「見込み客に直接的なアプローチを行い成約につなげること」と定義できます。

マーケティングと営業が厳密に分かれている会社もあれば、両方を同一の担当者が行っているケースもあるでしょう。いずれの場合も、マーケティングから営業の流れがスムーズにいかないと顧客の購買意欲を上げることができず、なかなか成約に結び付けられません。

営業活動における問題を解決する「可視化」とは

営業活動における問題解決手法の一つとして、「可視化」が挙げられます。可視化とは、一体どのような概念なのでしょうか。

業務フローやタスクを目に見える形で管理すること

「業務の可視化」とは、その名前の通り業務フローやタスクを目に見える形で管理することです。「目に見える形で」というのは紙に書く形でもよいのですが、管理を円滑にするためデータとして扱うのが好ましいでしょう。

一般的に、業務を可視化するにはまず業務の洗い出しを行います。各フローに生じているタスクを書き出し手順通りに並べることで、ワークフローの全体図が浮かび上がってくるでしょう。

それを元に業務効率化に取り組んだり、システム導入における新しいワークフローを構築するといった具合です。

可視化することで情報共有が容易になる

業務や情報を可視化することで、共有が容易になります。データとして扱われているワークフローの全体図をメンバー間で共有しアイデアを出し合うことも可能ですし、必要な情報を共有しタスクの意味を周知してもらうこともできます。

また、可視化による情報共有を行えば、メンバーだけでなく企業にも情報やデータを蓄積させることができます。一つ一つは小さなものかもしれませんが、それらが積み上がることにより、時間と共に膨大なデータが集まるでしょう。

フローが可視化されていないとさまざまな弊害がある

業務フローが可視化されていないと、さまざまな弊害が生じます。通常ワークフローはいくつものタスクが連なって構成されているものですが、フローが可視化されていないと各タスクにどのような意味があるのかが分かりづらくなってしまいます。

そうなると、タスクを処理するメンバーのモチベーションにも影響があるでしょう。加えて、業務フローが可視化されていない場合、どのように業務効率を上げるかといった点も不明確になってします。

業務フローが可視化されていれば各タスクの重要度や緊急度を測り優先順位をつけることもできますが、不可視の状態だとそうはいきません。どのタスクをカットすればどのような影響があるのかが分かりづらくなる以上、全てのタスクを均等にこなすことが求められてしまいます。

営業プロセスを可視化するメリット

では次に、営業プロセスを可視化するメリットについて見ていきたいと思います。営業プロセスを可視化すると、どのような利点が生じるのでしょうか。

各フローにおいて何が起こっているかが分かる

営業プロセスを可視化することにより、各フローにおいて何が起こっているかを把握することができます。途中経過を視認できるようになれば、成果の上がっている営業マンとそうでない営業マンの違いをチェックすることも可能になるでしょう。

もしかしたら、成果の出る営業マンは客先への訪問回数が多いかもしれません。そして、成果の出ない営業マンは社内にいる時間が長いかもしれません。

それらが全て結果に繋がっているかどうかは分かりませんが、営業方針策定のヒントになるのではないでしょうか。

評価基準が明確になる

営業プロセスを可視化すれば、評価基準が明確になるという利点もあります。「営業業務を評価する」と一口に言っても、企業によって評価軸が異なり、中には「成果以外の部分をどのように評価すればよいのか分からない」といった悩みを抱えているケースもあるのではないでしょうか。

営業プロセスが可視化されていない場合は、原則的に成果で評価せざるを得なくなります。しかしプロセスを明確にすることができていれば、どの部分にどのような問題が生じているかをある程度把握することができるため、より詳細な評価が可能です。

もちろんその場合でも成果に対する評価を除外することはできません。営業業務は商談を成約に導く仕事であるのに変わりはなく、原則的に成果によって評価されるものです。

ただ、途中経過が分かれば「なぜ成果が出ないのか」を突き詰めることができます。それぞれのプロセスにおいて細かい評価を行うことで、営業マンの行動指針を改善することもできるでしょう。

ノウハウに再現性が加わる

営業プロセスを可視化すれば、ノウハウに再現性が加わることになります。営業活動の問題点として「トップ営業マンに頼りがち」というものがありましたが、極論トップ営業マンのノウハウを再現できれば、皆が同じ成果を出せる可能性も生まれます。

現実的にはそこまでうまくはいきませんが、有用なノウハウを細分化して再現できれば、成功確率はぐっと高まります。合わせて、それを営業マン個人ではなく会社の知財とすることで、さらなる改善や発展を増し加えることもできるでしょう。

事業の継続には、偶然の一発ではなく再現性の担保が重要です。

営業活動を可視化するにはどうすればいい?

では、営業活動を可視化するにはどのように行えばよいのでしょうか。続いて、営業活動を可視化する具体的手法について解説します。

各プロセスを定義する

営業活動を可視化するには、まず各プロセスを定義しましょう。営業の一連の流れとしては、下記のようなものが一般的ですが

リード獲得

購買意欲の啓蒙

アプローチ

プレゼン・商談

成約

どこからどこまでをどの項目に含めるのかを定義します。たとえば、「サイトのSEO対策は営業活動に含めるのか、含めるならどこに位置するのか」「メルマガの配信は啓蒙かアプローチのどちらになるのか」などが挙げられるでしょう。

営業活動は企業ごとにさまざまな特性のある業務です。無理やり一般的な枠にはめこむのではなく、自社に合ったプロセス定義を行いましょう。

担当者にヒアリングし情報をまとめる

次に、営業担当者へのヒアリングを行い得られた情報をまとめます。該当業務に関しては現場の人間しか知らないことも多いため、当事者の声を無視して可視化に取り組むと本末転倒になってしまう恐れもあります。

ただ、営業担当者が忙しくしていてヒアリングの時間をとれないこともあるでしょう。そのような場合はあらかじめ聞くべき項目をまとめたシートを作成し、そこに記載してもらえば間接的にヒアリングを行うことができます。

システムを導入し管理を集約する

得られた情報を営業用のシステムに集約し管理することで、可視化を進めることができます。営業プロセス可視化のためのシステムとしては、CRM(Customer Relationship Management)やSFA(Sales Force Automation)などが挙げられます。

これらを活用すれば、効率的な営業管理を行うことができ、さまざまなメリットを得られるでしょう。CRMとSFAの違いはCRMが顧客管理をメインとするのに対し、SFAは営業支援をメインにする点です。

一般的に、営業プロセスの可視化および効率化のためにはSFAが選択されます。

営業支援システム導入のメリット

では最後に、営業支援システムであるSFA導入のメリットについて解説します。SFAを導入および活用することで、下記のような利点が得られます。

リアルタイムに情報共有が可能

SFAを導入することで、営業にまつわるさまざまな情報をリアルタイムに共有可能です。営業担当者のスケジュールやToDoに加え、「どの顧客とどのような商談を行ったか」や「上司からのフィードバック」なども瞬時に共有できます。

リアルタイム性の高い情報伝達としてはメールや電話も挙げられますが、システムを通すことで部署全体に共有できるのが特徴です。それに基づいてさまざまな意見や知見を得ることも可能なため、個人での営業からチームとしての営業にシフトさせる効果も得られるでしょう。

改善すべきプロセスが明確になる

SFAを導入することで、改善すべきプロセスが明確になります。営業フローを可視化してシステム管理すれば各プロセスにおけるさまざまな情報が上がってくることになるため、「どこをどう改善すべきか」が見えやすくなります。

プロセスを改善することで、全体的な効率が上がり成果が出やすくなります。加えて、改善によって洗練されたプロセスは再現性が高いため、トップ営業マンへの依存を薄める効果も期待できるでしょう。

売上や利益向上に繋がる

SFA導入の利点は細かいものまで数えれば無数にありますが、全ては「売上や利益の向上」に集約されます。営業プロセスの可視化や改善も「より少ないコストで大きな収益を上げるため」ですし、それが達成できないのであればシステムを導入する意味が不明確になってしまいます。

問題は、「システムを活用してどのように売上や利益を向上させるか」でしょう。このあたりは企業や事業の特性によって大きく異なりますが、一般的な例としては下記のようなものが挙げられます。

  • システムによって処理を自動化し、人的コストを下げる
  • システムに蓄積されたデータから顧客ニーズを細かく把握し、リピート率を上げる
  • 膨大なデータから得た市場ニーズを元にして新商品を企画したりプロモーションを行う

自社がシステムに何を求めてるのかを明確にし、それを満たすようなシステムを選ぶことが大事です。そのためには、「売上利益向上のため」というような曖昧なものではなく、より精査されたシステム導入フローを組み上げる必要があります。

まとめ

営業活動を可視化することで、さまざまなメリットを得られます。一例としては、「業務の明確化や効率化」「情報共有の容易さ」などが挙げられるでしょう。

営業活動を可視化するには「プロセスの定義」や「担当者へのヒアリング」、そして「システムの導入」が有効です。自社にとって必要なシステムを見極め、営業活動効率化を達成しましょう。

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