デジタルトランスフォーメーションによる営業の変化。活用ポイントや事例をご紹介

デジタルトランスフォーメーションによる営業の変化。活用ポイントや事例をご紹介

2月 2, 2021

記事の監修

S.Sato

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S.Sato

マネジメント&イノベーション事業部 開発部/2グループ グループマネージャー
資格:Microsoft Offiece Specialist Master 2007、ITパスポートなど

2022年よりMicrosoft365とPowerPlatformの案件を担当。
それ以前は業務・Web系システムを要件定義からリリースまでの開発に従事。
IT業界歴15年の経験を活かし、PJを牽引し後続の育成にも力を注ぐ。
趣味は散歩で、思考が煮詰まった際には、近所の緑道を散歩し、新たな発見や自然からのインスピレーションを受けている。

デジタルトランスフォーメーションを活用することで、さまざまな業務が変化し効率化されます。この記事では、デジタルトランスフォーメーションと営業業務の関係について解説します。
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なぜ今デジタルトランスフォーメーション(DX)が求められるのか

なぜ今デジタルトランスフォーメーションが求められているのでしょうか。まずは、そのあたりの理由を探ってみたいと思います。

顧客のニーズが各種データから予測できるようになった

業務のデジタル化が進み、顧客のニーズがさまざまなデータから予測できるようになりました。紙媒体の広告を閲覧した履歴はどこにも残りませんが、自社サイトのアクセス記録は事細かくデータとして記録されます。 

それを見ると、どのページのアクセス数が多いか、どの製品の詳細がよく見られているかといった情報を得ることが可能です。それらを分析することで顧客の動向を計り、ニーズをある程度予測できるようになりました。 

顧客のニーズを理解している企業とそうでない企業は、販売動向において大きな差がつくことになるでしょう。

顧客がインターネットを介して直接情報を得られるようになった

顧客自身がインターネットを介し、直接製品やサービスの情報を得ることができる時代になりました。オンラインでの動向がデータ化されるのは前述の通りですが、顧客自身も多くの情報を取得し、場合によっては販売担当者より詳しくなるケースもあります。 

そのような状況では、営業担当者による事細かなプレゼンが必ずしも有効とは限りません。従来は顧客による情報の取得が難しかったため、製品やサービスの詳細を知るにはまず販売企業や担当者にアプローチを取るしかありませんでした。 

その後に製品やサービスの選定が始まったわけですが、今や企業にアプローチを取る前に選定が開始されています。であれば、アプローチ前にいかに自社に興味を抱いてもらうかといった考え方が大事になるわけです。 

営業業務の転換。プッシュ型からプル型へ

営業業務の転換も、デジタルトランスフォーメーションが求められる要因の一つです。従来は営業担当者が想定顧客にランダムアプローチを行い、興味を示した見込み客に商談をもちかけるというプッシュ型営業が主流でした。 

しかし、プッシュ型では興味のない大勢にアプローチすることになるため、担当者の疲弊や、見込み客側の求めてもいないアプローチをされるストレスといった問題が発生します。そういった要因からプッシュ型営業の効率が著しく悪化したため、現在では見込み客側から興味を持ってアプローチしてもらうプル型の営業が主流になりつつあります。 

こちらからアプローチを行わず向こうに手を挙げてもらうためには、マーケティング戦略が欠かせません。オンラインでマーケティングを行うためには見込み客のニーズをしっかりと把握して適切な情報提供を行う必要があるため、デジタルトランスフォーメーションが重要になるわけです。 

デジタルトランスフォーメーションで営業はどう変わる?

デジタルトランスフォーメーションで、営業業務はどのように変化するのでしょうか。 

ランダム性の高い営業ではなく、購買意欲の高い顧客に集中できる

デジタルトランスフォーメーションを営業業務に活用することで、購買意欲の高い顧客にリソースを集中できます。あらゆる行動がデジタルによって記録される現代においては、見込み客がどの程度自社製品に対する購買意欲を抱いているかもある程度測定できるようになりました。 

それを活用すれば、熱量の高い見込み客のみを営業担当者に渡し商談に入る、ということも可能です。元々購買意欲の高い見込み客なので、今さら熱量を高めるためのプレゼンや営業トークは必要なく、クロージングだけで契約が成立するケースも少なくないでしょう。 

営業プロセスの全体ではなく一部を請け負うようになる

そして、熱量の低い見込み客は営業ではなくマーケティング部門が請け負うことになります。意欲の低い段階で営業担当者が出向いても空振りに終わる可能性が高く、生産性が低下する要因にもなるでしょう。 

そのような相手に対しては直接的に営業をかけるのではなく、製品の情報やメリット、具体的な活用事例などを啓蒙します。人はよく知っている製品やサービスほど好意を抱きやすい傾向があるため、まずは情報発信を行い、自社についてよく知ってもらうことが大事です。 

デジタルトランスフォーメーションにおける営業担当者の役割は、クロージングやアフターフォローだけということもありえます。営業プロセスが分割され、それぞれに最適な手法が模索され実行されるのもデジタルトランスフォーメーションの特徴です。

極論、従来の営業職を廃止することも可能

極端な話をすると、従来の営業職を廃止することも可能でしょう。業務をデジタル化することでアプローチからマーケティング、そして販売までをオンラインで完結させることが可能だからです。 

見込み客集めから購買意欲の啓蒙、そして顧客側からオンラインを通した注文を行ってもらえば、営業担当者の出る幕はありません。業種や企業によるところも大きいですが、「営業職は必要か否か」という部分に問題意識を抱いておくことは大事でしょう。 

営業職を廃止することができれば、その分リソースを節約できます。しかし、リソースは節約できても収益が下がっては意味がありませんので、バランスの良い判断を行う必要があります。

デジタルトランスフォーメーションを営業に活用するメリット

では、次にデジタルトランスフォーメーションを営業プロセスに活用するメリットをご紹介します。

成約率の向上

デジタルトランスフォーメーションを営業に活用することで、成約率の向上が見込めます。デジタルトランスフォーメーションにより見込み客のオンライン上の行動をデータ化し分析することで、購買熱量をある程度計測できるのは前述の通りです。 

意欲が十分に高まった見込み客を営業に渡すことで、商談の効率が上がり成約率の向上に繋がるでしょう。従来のようにランダム性の高い営業を行っていると見込み客の意欲が分からないため、成約率が営業マンのテクニックに依存してしまいます。 

業務を平準化し属人性を排除できるのも、デジタルトランスフォーメーションの利点と言えるでしょう。

顧客との密な関係性構築

デジタルトランスフォーメーションを活用することで、顧客と密な関係性を構築することができます。業務をデジタル化すればオンライン上での顧客の行動をある程度記録することができるため、それを元にした的確なアフターフォローを行えばリピートに繋がる可能性が上がります。 

人は、自分のことをよく理解してくれている相手に好感を抱くものです。ちょっとした気遣いから適切なフォローまで、デジタルトランスフォーメーションを駆使して関係性を構築しておきましょう。

属人性の排除

営業マンの属人性排除は前述の通りですが、デジタルトランスフォーメーションで属人性を排除できるのは営業職に限りません。個人の勘ではなく上がってきたデータを元に適切な対応を行うマーケティングや、一元化された情報を参考に顧客対応を行うコールセンターなども該当するでしょう。 

業務の属人性を排除するか否かは諸説ありますが、メリットとデメリットを天秤にかけて判断することが大事です。その結果として属人性を優先しないのであれば、デジタルトランスフォーメーションによる業務平準化を大いに活用しましょう。

デジタルトランスフォーメーションはこう使う。DX活用のポイント

では、次にデジタルトランスフォーメーションの活用ポイントについて見ていきたいと思います。

DX時代における営業職の役割を見直そう

デジタルトランスフォーメーションを駆使すれば、極論営業職を廃止することができます。そこまではいかなくとも、営業という仕事の定義を変化させることは十分可能でしょう。 

問題は、「どのように変化させるか」と「本当に変化させる必要があるか」です。やみくもに変化させて生産性が下がったら元も子もないので、変化させるべきか否かは総合的な判断が必要です。

自社の課題を解決できる適切なシステムを見極めよう 

デジタルトランスフォーメーションに必要不可欠なのが、業務システムの導入です。業務システムを導入することで生産性が向上し、収益基盤が強化されるでしょう。 

ただし、自社の抱えている課題を適切に解決できるものに限ります。システムを導入する一番の目的は「課題や問題の解決」になるため、そこを踏まえていないと正しいシステム選びができません。 

システムを導入する前に、自社の課題を明確にしておく必要があります。

成果を定量的に判断しよう

デジタルトランスフォーメーション活用時には、成果の定量的な測定が欠かせません。デジタル機器を活用することで多くの事象を数値で表すことができるため、従来では難しかった業務の定量的測定が可能となります。 

たとえば、下記のようなものが挙げられるでしょう。 

  • サイトを訪問したユーザー数に対する問い合わせ数 
  • あるステージから上位のステージに進んだ見込み客数

成果を定量的に測定できなければ、行っている施策が正しいのかどうかの判断ができません。原則的に、「効果が出ているのであれば継続」「出ていないのであれば改善」となります。

デジタルトランスフォーメーションを活用して生産性が向上した事例

それでは、最後にデジタルトランスフォーメーションを活用して生産性が向上した事例をいくつかご紹介します。

インサイドセールスによりリード獲得量10倍に:NTT東日本

NTT東日本は、通信事業を主体とする日本の大手企業です。同社は、元々マス広告でサービスやブランドの訴求を図っていましたが、ビジネスユーザーを意識し、デジタル広告やデジタル施策にシフトするようになりました。 

デジタル広告にシフトすることでリード獲得量が増えたものの、受注率は低く、適切な管理もなされていないという問題を抱えることになります。そこでインサイドセールスチームである「Webリードクロージングセンタ(WCC)」を結成し、リードの獲得からクロージングまでを手掛けることにしました。 

営業との情報共有を行ったり、営業用ITツールを導入することで業務を最適化し、結果10倍超のリード、34倍もの受注額を得ることに成功しました。

デジタルマーケティングを活用し、商談化率をアップ:株式会社キャンバス 

株式会社キャンバスは、デジタルコンテンツやデジタルソリューションを提供している会社です。同社では、営業における商談化率の低さという問題を抱えていたため、MAツールを導入し解決を図りました。 

一度目の挑戦は失敗に終わりましたが、要因を分析し自社に合ったツールを探し導入することに成功。その結果、商談化率を35%アップさせることができました。

営業を廃止し、オンライン販売へ移行:テスラ

デジタルトランスフォーメーションを活用することで、営業業務を全てオンラインで完結させることも可能です。テスラはアメリカ合衆国で自動車の製造販売を手掛けている会社ですが、同社は車という大きな商品をオンラインで販売することに踏み切りました。 

オンラインで商品を販売する場合、核となるのはECサイトです。商品を直接見ることができない以上、顧客はサイトである程度購入の判断を行うため、サイト上でいかに商品のよさを訴求できるかが勝負になってきます。 

テスラの場合、サイトの動作をなるべく軽くし、顧客が快適に閲覧・判断できるようサービステクノロジーに投資を行っています。また、「商品を直接見て(試して)判断したい」というニーズに応えるため、購入後7日もしくは1000マイル以内であれば返品可能というシステムも設けました。 

また、業務のオンライン化よりコスト削減を図り、平均6%の価格低下も達成しています。

まとめ

営業におけるデジタルトランスフォーメーションは、もはや必須といっても過言ではありません。自社に合ったDXを模索し、収益体質を強化しましょう。

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