各社のSFA(営業支援システム)/CRM(顧客関係管理)の特徴を徹底比較!最適なSFA/CRMを選ぶために、これだけは抑えておきたいポイントも一挙紹介!
October 28, 2020
記事の監修
S.Sato
記事の監修
S.Sato
マネジメント&イノベーション事業部 開発部/2グループ グループマネージャー
資格:Microsoft Offiece Specialist Master 2007、ITパスポートなど
2022年よりMicrosoft365とPowerPlatformの案件を担当。
それ以前は業務・Web系システムを要件定義からリリースまでの開発に従事。
IT業界歴15年の経験を活かし、PJを牽引し後続の育成にも力を注ぐ。
趣味は散歩で、思考が煮詰まった際には、近所の緑道を散歩し、新たな発見や自然からのインスピレーションを受けている。
この記事では、SFA(営業支援システム)/CRM(顧客関係管理)とは何か、そして各社の SFA/CRM の違いについて解説します。
Contents
目次
SFA(営業支援システム)/CRM(顧客関係管理)とは?
そもそも、SFA(営業支援システム)/CRM(顧客関係管理)とは何かについて解説します。
SFA(営業支援システム)
SFA とは、「セールス・フォース・オートメーション」の略で、「営業支援システム」と訳されます。
業務プロセスの自動化によって、効果的な営業アプローチを実現することです。
営業活動の効率化や効果的なアプローチを実現
SFA では、営業活動を効率化し、リードに対して効果的なアプローチをすることができます。
営業活動の効率化とは、単純な繰り返し業務の自動化をすることができるだけでなく、お客様の行動分析やメール配信などもシステムで自動で行うことができます。
見込み客リストの作成や、それに対する初動のアプローチなども、システムによって自動で行うことが可能です。
また、営業活動の効率化により、営業担当が営業活動そのものに使える時間が増えることで、お客様とのコミュニケーションの質や量を高めることができます。
営業ノウハウをチームで共有することで、営業チーム全体のスキルアップ
少し前までは、営業は個人のスキルに頼る部分が多いと言われていました。
なぜなら、営業におけるスキルを可視化することが難しかったからです。
ですが最近では、SFA によって好成績の営業マンのノウハウ(営業トーク、提案書、クロージングなど)をデータによって可視化することが可能になりました。
そういったノウハウを組織全体で共有することで、営業組織全体のスキルアップにつなげることができるのです。
営業ノウハウの脱属人化を実現することで、組織の資産として営業ノウハウを伝承していくことが可能になります。
CRM(顧客関係管理)
CRM とは、「カスタマー・リレーションシップ・マネジメント」の略で、「顧客関係管理」と訳されます。
顧客との関係を管理するマネジメント手法のことで CRM システムとはそれを実現することができるシステムのことを指します。
では、CRM システムで具体的に何ができるのかを解説します。
顧客のデータ管理や案件管理ができる
CRM システムでは、顧客データや案件をシステムで一元管理することができます。
昨今のビジネス現場では、名前やメールアドレスといった基本的な顧客情報に加えて、顧客との取引状況や顧客の経営状況から考えられるニーズなど、幅広いデータを管理する必要が出てきました。
そうすることで、データをもとに顧客に対して最適なアプローチをかけることができるようになるからです。
しかし、こういった膨大な量のデータを管理するためには、今までのようにエクセルのみで管理したりする方法では、限界があります。
また、データの参照もしづらく、結果的にあまり利用することがない無意味なデータになってしまいます。
そうならないために、それぞれの顧客データや案件情報を、CRM システムによって一元管理することで、データを有効活用することができ、顧客との関係をより密に構築していくことができます。
名刺管理で既存顧客の掘り起こしも可能
多くの CRM システムでは、大量の名刺データをシステムで一元管理することができます。
名刺管理のメリットは、以下のようなものがあります。
・検索機能ですぐに希望のデータを探すことができる。
・各個人で集めた名刺データを会社の資産として共有することができる。
・システムにアクセスできる環境であれば、いつどこからでも名刺データを見ることができる。
このように CRM システムによる名刺管理には様々なメリットがあります。
また、この他に集客面でも大きなメリットがあります。
それは、既存顧客の掘り起こしです。
集客方法に頭を悩ませている企業は非常に多いと思いますが、名刺管理をすることで既存顧客の掘り起こしをすることができます。
CRM システムで名刺管理をすることで、直近のアプローチ状況や過去の取引情報などを全て可視化することができます。
MA ツールなどと連携すれば、そういったデータをもとに、ある一定期間取引がない企業に対しては、メールでのアプローチを自動で行ったりするといったことも可能になります。
データをもとにアプローチを行うので、執拗にアプローチして既存顧客との関係を悪化させてしまうといったこともないでしょう。
集客といえば、新規顧客の開拓に目が行きがちですが、既存顧客にも大きなビジネスチャンスがあります。
CRM システムによる名刺管理によって既存顧客に対して適切なアプローチをすることで、既存顧客の掘り起こしをすることができるでしょう。
これだけ抑えていれば大丈夫!主要なSFA/CRM比較一覧
SFA/CRM と言っても、各企業によって様々なものが生み出されています。
そこで今回は、これだけ抑えていれば大丈夫と言われる主要なSFA/CRMを、各社の特徴などを比較してご紹介します。
Sales Cloud
特徴
Sales Cloud は株式会社セールスフォース・ドットコムが運営する、世界でトップシェアを誇るSFA/CRMです。
Sales Cloud は機能面に優れ、業界トップクラスのデータ分析機能を誇ります。
AI 機能も充実していて、様々なデータから顧客に対して最適なアプローチを実現できます。
システム料金
料金は最も利用されているプランで1ユーザーあたり月額18,000円〜です。
プランは4つあり、最も安価なプランだと月額3,000円〜利用可能です。
30日間の無料トライアルもあるので、30日間で自社に合うかどうかを見極めることも可能です。
こんな企業におすすめ
- より高度なデータ分析によって、営業の成約率をあげたい企業
- 細かい機能が多い分運用コストも高いので、情シス担当などが常駐していて継続して運用していくことができる企業
連携できるツール
Sales Cloud を運営するセールスフォース・ドットコムは、Service Cloud(カスタマーサービス)やMarketing Cloud(マーケティングツール)といった製品も扱っており、それぞれのツールと連携することができるので、幅広いニーズに答えることが可能です。
また、Outlook メールなどとの連携も簡単に行うことができます。
Microsoft Dynamics 365 for Sales
特徴
Dynamics 365 for Sales は、Microsoft が運営する SFA/CRM です。
Dynamics 365 for Sales は、office 製品(Word, Excel, Powerpointなど)や Outlook などの Microsoft 製品との相性が良いのが特徴です。
また Dynamics 365 for Sales は、Microsoft 社が今後より多くのリソースを使って開発していくことを明言していることもあり、今世界から注目を浴びている SFA/CRM です。
システム料金
料金は、プランや契約形態によって様々ですが、最もオーソドックスなプランで、1ユーザーあたり月額7,070円〜利用可能です。
また、Dynamics 365 の他製品と併用すれば単体価格よりも非常にお得に利用することが可能です。
トライアル版では、Dynamics 365 製品を30日間無料で試用することが可能です。
こんな企業におすすめ
- 既にMicrosoft製品をお使いになられている企業
- 長期的に様々な Dynamics 365 製品との連携を考えている企業
連携できるツール
Dynamics 365 には、Sales 以外に下記のような様々なサービスがあります。
- Marketing
- Customer Service
- Field Service
- Finance
- Operations
- Commerce
- Human Resources
これらのサービスのデータベースは裏でつながっているので、連携も簡単にできるのがポイントです。
Dynamics 365 for Marketing などと連携すれば、営業活動とマーケティング活動を一括で行うことができるので、リードの獲得から営業活動までの流れを非常にスムーズに行うことが可能になり、営業効率アップに繋がります。
SAP Sales Cloud
特徴
SAP Sales Cloud は、ドイツに本社を置く世界的企業の SAP SE の日本法人であるSAPジャパン株式会社が運営する SFA/CRM です。
見積書や契約書などの作成もスムーズに作成できるので、販売活動を幅広くサポートすることが可能です。
また、SAP SE は ERP(統合基幹業務システム)にも強みを持っていて、そのシェアは業界1位です。
SAP の ERP と連携させることでより強みを発揮できます。
システム料金
価格は非公開のため、導入をご検討の際は公式サイトから見積もりをリクエストする必要があります。
基本的には、他のサービスと同様にユーザー数に基づいた年単位のサブスクリプション方式です。
こんな企業におすすめ
- 既に SAP の製品を使われている企業
- SAP の ERP の導入も検討されている企業
連携できるツール
SAP SE が運営するサービスには下記のようなサービスがあります。
- SAP ERP
- SAP Business Objects
- SAP Mobile など
上記の他にも多くのエンタープライズ系のソフトウェアサービスを持っており、各システムの連携も可能です。
特に SAP ERP はERP業界でナンバーワンのシェアを誇ります。
SAP ERP と連携すれば、販売管理、生産管理、在庫管理、会計といった業務も一貫して行うことができるので、様々な部署の垣根を超えた連携が可能になります。
Senses(センシーズ)
特徴
Senses は、株式会社マツリカが運営する SFA/CRM です。
Senses は、比較的新しい CRM & SFA で、シンプルでありながら必要な機能を兼ね備え、その使いやすさから導入企業が増えているのが特徴です。
機能は随時追加されていて、最近では AI を用いて画像から文字データを取り込む OCR 機能などもリリースし、名刺データの取り込みや文字データの登録なども可能になっています。
システム料金
料金は、3つのプランがあり、最もオーソドックスなプランで1ユーザーあたり月額10,000円〜利用できます。
無料トライアルに加えて、オプションにはなりますが運用・定着化支援なども行っているので、うまく組み合わせることで運用不安を解消できるでしょう。
こんな企業におすすめ
- シンプルで使いやすい SFA/CRM を導入したい企業
- SFA/CRM の運用に不安を抱えている企業
- MA ツール「マルケト」をご利用している企業
連携できるツール
Senses は、アドビ株式会社が運営する MA ツールである「マルケト」とデータ連携をすることが可能です。
マルケトと連携することで、営業、マーケティング活動を一貫して行うことが可能になります。
Knowledge Suite
特徴
Knowledge Suite は、ナレッジスイート株式会社が運営する SFA/CRM で、国内企業ではトップクラスのシェアを誇ります。
Knowledge Suite はユーザーあたりによる料金ではなく、スタンダードプランであれば月額50,000円でユーザー数無制限で使用することができます。
費用面の見積もりが立てやすいのが特徴です。
システム料金
価格は、スタンダードプランで月額50,000円で利用可能です。
他の多くのサービスがユーザー数に基づいたサブスクリプション型ですが、Knowledge Suite は月額50,000円でユーザー数無制限で使用できます。
ただし、データ容量の追加などは別途オプションで月額費用に加算されるような形です。
こんな企業におすすめ
- ユーザー数無制限で予め決められた予算の中で導入されたい企業
- 多数の導入実績などを参考に導入をされたい企業
連携できるツール
Knowledge suite は、グループウェアがついた SFA/CRM で企業活動を幅広くカバーしています。
独立した MA ツールなどはありませんが、ある程度のマーケティング機能は Knowledge suite の中に組み込まれています。
セキュリティでも自社ソリューションの GRIDY Security などと連携すればより安全に運用していくことができます。
eセールスマネジャー Remix CLOUD
特徴
eセールスマネジャー Remix CLOUD はソフトブレーン株式会社が運営する SFA/CRM です。
eセールスマネジャー Remix CLOUD は、使いやすい機能で定着率が高いのが特徴です。
定着支援体制もしっかりしているので、運用不安がある企業におすすめです。
導入実績も5,000社を超える実績があり、国内トップシェアの実績があります。
システム料金
価格は、スタンダードプランで1ユーザーあたり6,000円〜利用できます。
ただ、導入後を見据えたカスタマイズなども行っているので、企業によって多少値段の誤差はあると思います。
こんな企業におすすめ
- SFA/CRM をしっかりと定着させたい企業
- シンプルで使いやすい SFA/CRM を利用したい企業
連携できるツール
eセールスマネジャー Remix CLOUD は、SFA/CRM の機能に加えて、マーケティングや分析ツールなども標準装備されています。
eセールスマネジャー Remix CLOUD の場合、長期的に利用してもらうため使いやすさに重点を置いているので、eセールスマネジャー Remix CLOUD 一つで企業活動を網羅的にカバーできるように設計されています。
そのため外部ツールとの連携などはあまりありませんが、その分使いやすいシステムになっています。
SFA/CRM の選び方
一部の主要な SFA/CRM をご紹介させていただきましたが、この他にも多くの SFA/CRMが存在しています。
正直、どれがいいのかわからない方が多いと思います。
そこで、ここからは SFA/CRM の最適な選び方をご紹介させていただきます。
自社の課題の洗い出し
SFA/CRM を導入する上でまず必要になるのが、自社が現在抱えている課題が何かを明確にすることです。
SFA/CRM を導入する理由は、現在抱えている課題や今後直面するであろう課題を解決するためです。
では、企業が抱えている課題はどの企業も同じでしょか?
そんなわけはありません。
それぞれの企業によって、課題は様々です。
だからこそ、まずは自社が抱えている課題を洗い出し、その課題を解決できそうなシステムを選ぶ必要があるのです。
要件を満たせる SFA/CRM をピックアップ
自社が抱えている課題が洗い出せたら、次はその課題を解決出来そうな SFA/CRM をピックアップすることです。
ここが一番迷われるところだと思います。
どのシステムにもメリット・デメリットはありますし、機能の種類や使いやすさも全然違います。
では何を指針に選べば良いのでしょうか?
それが先ほど洗い出した企業の課題です。
例えば、企業規模がある程度大きく、情シス担当などもいるような企業でしたら、機能面で優れた SFA/CRM の利用が向いていると思います。
中小企業で、使いやすいシステムでしっかりと定着させることを目的とするのであれば、サポートがしっかりしていて使いやすい SFA/CRM の利用が向いていると思います。
この他にもどこに重点を置くかによっても変わってきます。
例えば、顧客管理に重点を置くのか、それとも営業やマーケティングに重点を置くのか、あるいは ERP などとの連携もしたいのか、といったことでも変わってきます。
ですから、まずは自社の課題や重点を置くべきポイントをしっかりと整理した上で、自社に合いそうな SFA/CRM をピックアップしましょう。
その際の選択肢として、導入支援サービスなどを利用することも視野に入れると良いでしょう。
そうすることで、自社にあった SFA/CRM を見つけることができるでしょう。
システムの導入方法と運用方法はどうする?
何個か導入したい SFA/CRM のピックアップが終わったら、次は導入方法と運用方法を決める必要があります。
導入方法には下記のような方法があります。
1.ライセンスを買い、設定などは全て自社で行う
2.ライセンスの購入から運用まで、導入サポートなどを受けながら行っていく
システム自体はライセンスを購入することで使用できますが、運用していくためには、アカウント設定やデータ入力などの作業が必要になってきます。
システム導入の際にはこういった設定などで、つまずいてしまうこともよくあります。
そうすると、結果的に初期設定の段階で、うまく設定ができていなくて運用がうまくいかなくなってしまったりということになりかねません。
どこまでを自社で行い、どこからはサポートを受けるのかを導入時点である程度決めておくと良いでしょう。
そうすることでスムーズにシステムの導入を行うことができるでしょう。
システム導入後の運用についても同じです。
システムを運用していくと、様々な疑問点や改良点が出てくるでしょう。
そういったものを改善していくことで、より効率的に運用していくことができます。
その場合、ある程度そのシステムについての知識は必要不可欠です。
自社の情シス担当などで賄える場合はそれで大丈夫ですが、そうではない場合は、費用や導入スケジュールなどから逆算して、どこまでのサポートを受けるのかを決める必要があります。
ある程度、しっかりと自社で運用していく目処が立つまでは、そういった導入・運用サポートを受ける方が結果的に費用対効果が高くなるでしょう。
導入に失敗しないためのポイント
ここからは、SFA/CRM の導入に失敗しないためのポイントをご紹介します。
適切な準備期間を設けること
SFA/CRM の導入を検討されている企業は、何らかの課題を解決するためにシステムの導入をご検討されていると思います。
その際にやりがちなのが、システムの導入を焦ってしまうことです。
しかし、あまり検討もせずにシステム導入しても結果的に定着せず、導入費用だけがかさんでしまうことになりかねません。
下記のスリーステップをしっかりと踏んだ上で、適切な準備期間をもうけるようにしましょう。
1.課題の洗い出し
2.要件を満たせるSFA/CRMをピックアップ
3.導入方法と運用方法の決定
あくまでも目安ですが、少なくとも導入検討から、1,2ヶ月の準備期間は設けるべきでしょう。
そして、運用する際も同じです。
社内にシステムが根付くように、使い方まとめた資料を用意したり、定期的にレクチャーする機会を設けることが必要になってくるでしょう。
こういったことも含めて予め適切な準備期間を設けることが重要です。
長期的な視点で運用すること
SFA/CRM を導入する際は、短期的な効果にはあまり期待するべきではないでしょう。
SFA/CRMの多くは、サブスクリプション型で毎月費用がかかります。
その費用を回収するために、早く SFA/CRM の効果を実感したいというのは経営者やリーダーであれば誰しもが思うことだと思います。
しかし、SFA/CRM は短期間ではあまり効果は出ません。
少なくとも約1年くらいは、使い続けなければあまり意味はないでしょう。
ですから、SFA/CRM を導入する際は、ある程度長期的な視点で導入を検討するべきです。
1年ほど運用していけば、会社の資産として様々なデータを管理することできます。
そして、それまでの営業活動などから、AI による分析などによってより精度の高いアプローチを行うことができるようになります。
SFA/CRM は長期的に運用をしていくことで、より効果を発揮することができるのです。
SFA/CRM を導入する際は、長期的な視点で運用していく計画を立てるようにしましよう。
まとめ
一昔前までは、SFA/CRM は大企業が使用するものといったイメージがあったと思います。
しかし、SFA/CRM の導入は、企業規模に関わらず最早当たり前になりつつあります。
それほど、企業活動において、SFA/CRM の果たす役割は大きくなっています。
SFA/CRM の効果を最大限に発揮するためにも、自社にあったモノを選び、長期的な視点で運用していきましょう。
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