記事の監修
S.Sato
記事の監修
S.Sato
マネジメント&イノベーション事業部 開発部/2グループ グループマネージャー
資格:Microsoft Office Specialist Master 2007、ITパスポートなど
2022年よりMicrosoft365とPowerPlatformの案件を担当。
それ以前は業務・Web系システムを要件定義からリリースまでの開発に従事。
IT業界歴15年の経験を活かし、PJを牽引し後続の育成にも力を注ぐ。
趣味は散歩で、思考が煮詰まった際には、近所の緑道を散歩し、新たな発見や自然からのインスピレーションを受けている。
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目次
日々の業務に追われ、文書作成や会議のまとめ、データ整理に時間がかかっていませんか?Microsoft 365 Copilotとは、こうした業務をAIで支援するMicrosoft 365の機能です。WordやExcel、Teamsなどと連携し、作業の効率化を実現します。この記事では、Copilotの機能や活用例、導入時のポイントを解説します。業務改善やAI活用に関心がある方は、ぜひ参考にしてください。
Microsoft 365とは

業務のデジタル化が進む中で、企業が求めるIT基盤には柔軟性と統合性、そして高い生産性が求められています。Microsoft 365は、こうしたニーズに応えるクラウド型の業務プラットフォームとして、多くの企業で導入が進んでいます。このセクションでは、Microsoft 365の基本的な仕組みや主要アプリケーションの役割、そしてクラウド型ならではの利点やセキュリティ面の特徴について解説します。
業務基盤としてのMicrosoft 365
Microsoft 365は、Microsoft社が提供するクラウド型の統合業務プラットフォームであり、ビジネスに必要なコミュニケーション、情報共有、文書作成、データ管理などを一元化して行える環境を提供しています。従来のOffice製品に加え、クラウドサービスやAI機能、セキュリティ管理機能が組み込まれており、働き方改革やDX推進に取り組む企業にとって、中核となる業務基盤です。
従業員が場所やデバイスを問わずに同じ環境で業務を遂行できるようになるため、ハイブリッドワークやリモートワークの定着にも大きく寄与します。また、部門やチーム間の連携を強化し、情報のサイロ化を防ぐ仕組みも整っており、組織全体の生産性向上に貢献します。
主要アプリケーションの概要
Microsoft 365には、以下のような代表的なアプリケーションが含まれています。
- Word:文書作成とレビュー機能に優れたエディタ。共同編集やコメント機能により、チームでの文書作成も効率的に行えます。
- Excel:データ集計や分析に特化した表計算ツール。関数やピボットテーブル、Power Queryなどを活用することで、複雑なデータ処理が可能です。
- PowerPoint:プレゼンテーション資料の作成に利用され、テンプレートやデザイン機能も充実しています。
- Outlook:メール、カレンダー、タスク管理を一体化したアプリケーション。Microsoft TeamsやTo Doと連携することで、業務効率がさらに向上します。
- Teams:チャット、ビデオ会議、ファイル共有などを一つのインターフェースで実現するコラボレーションツール。社内外問わずスムーズなコミュニケーションを実現します。
これらのアプリケーションは相互に連携しており、業務の流れを中断することなく、スムーズにタスクを遂行できる点が特徴です。
クラウド型の利点とセキュリティ面の特徴
Microsoft 365はクラウドベースで提供されているため、常に最新の機能が自動的に反映され、保守やアップデートの手間が大幅に軽減されます。ファイルやデータはMicrosoftのデータセンターで保管され、強固なセキュリティ対策が講じられているため、オンプレミス環境と比べて高い可用性と安全性を実現しています。
加えて、ユーザーごとのアクセス制御、多要素認証(MFA)、データ損失防止(DLP)などのセキュリティ機能が標準で搭載されており、企業の情報資産を保護する仕組みが整っています。また、Microsoft Purviewなどを活用すれば、ガバナンス管理やコンプライアンス対応も一元的に行えるため、企業の情報統制にも対応可能です。
業務の柔軟性と安全性を両立させるプラットフォームとして、多くの企業に選ばれているのがMicrosoft 365です。
Copilotとは

Microsoft 365に組み込まれたCopilotは、生成AIを活用して日常業務を支援する機能です。このセクションでは、Copilotの仕組みや特徴、業務にもたらす利便性について紹介します。
Copilotの基本機能と仕組み
Copilotは、Microsoft 365に組み込まれた生成AIベースの業務支援機能であり、OpenAIの大規模言語モデル(LLM)とMicrosoft Graphのデータを活用して、ユーザーの操作や意図を理解し、さまざまな業務タスクを補助します。
チャット形式での自然言語入力に対応しており、ユーザーが「〇〇について要約して」「会議の議事録を作成して」といった指示を行うだけで、文章作成・要約・分析・スケジュール整理などを自動で実行できます。また、各アプリケーションに直接組み込まれているため、WordやExcel、Outlookなどの作業画面からそのままAI機能を利用可能です。
日常業務で発生する繰り返し作業や情報整理を効率化することがCopilotの大きな役割です。人手をかけずに高品質なアウトプットが得られる点が、従来の業務支援ツールと一線を画しています。
Microsoft 365との統合による利便性
CopilotはMicrosoft 365各アプリケーションと深く統合されており、複数のサービス間で一貫した操作感を保ちつつ、横断的なデータ活用を可能にしています。
たとえば、Outlookに届いたメールの内容をもとにWordで報告書を自動生成したり、Excelの売上データを分析してTeams上で共有・議論したりする、といった作業が可能になります。これは、Microsoft Graphがユーザーのメール、カレンダー、ドキュメント、チャット履歴などに安全にアクセスし、関連情報を文脈として組み合わせながら、適切な支援を行う仕組みによって実現されています。
その結果、WordやExcel、Outlook、Teamsといった複数のアプリケーションを行き来する必要がなくなり、ひとつの操作環境の中でタスクをスムーズに完結できるようになります。業務の切り替えや手戻りが減り、日常の業務フロー全体が効率化されます。
自然言語処理と生成AIによる業務サポート
Copilotの根幹を支えるのが自然言語処理(NLP)と生成AI技術です。ユーザーの指示を理解し、適切なアクションや出力を生成するために、Copilotは高度な言語モデルを用いて入力文の意図を解釈します。
この技術により、従来であれば専門知識が必要だったデータ分析や文書作成が、「話しかけるだけ」で完了するようになります。また、対話型インターフェースの採用により、曖昧な指示にも柔軟に対応でき、ユーザーとのインタラクションを通じて出力内容を改善することも可能です。
誰でも使えるユーザーインターフェースと、高度なAI処理能力を兼ね備えている点が、Copilotの最大の魅力といえます。業務知識が豊富でない担当者でも、高度な分析や情報整理を短時間で行えるようになるため、組織全体の生産性向上に直結します。
Microsoft 365 Copilotの主な活用シーン

CopilotはMicrosoft 365の各アプリケーションと連携し、日常業務の多くを自動化・効率化する役割を担います。以下では、主要なアプリごとの具体的な活用シーンを紹介します。
Wordでの文章生成・要約機能
Wordでは、Copilotを使って企画書や報告書、契約書案などの文書を自動生成できます。たとえば、「プロジェクトXの進捗報告書を作成して」と入力すれば、Outlookのメール内容やTeamsの会話履歴などから関連情報を抽出し、構成された文章が即座に作成されます。 また、長文の資料を読み解く時間を短縮するために、文章全体の要約を数行で生成する機能も利用可能です。これにより、読み手の理解を促進しつつ、レビューや共有のスピードも向上します。
Excelでのデータ分析・自動グラフ作成
Copilotは、Excel内の表や数値データをもとに傾向分析や集計処理を自動で実行します。たとえば、「今月の売上データの傾向を教えて」と指示するだけで、差異や伸び率を分析し、視覚的にわかりやすいグラフも同時に生成します。 関数やピボットテーブルに詳しくないユーザーでも、自然言語での指示によって高度な分析が可能になる点が大きな利点です。
Outlookでのメール返信案作成とスケジュール調整
Outlookでは、Copilotが受信したメールの内容を分析し、適切な返信文の下書きを提案します。定型的なやり取りやビジネスメールに対して、敬語や表現の整った文面が自動で生成されるため、作成の手間を大幅に削減できます。 さらに、相手のカレンダー情報と自分の予定をもとに、会議や面談の候補日を提示し、スケジュール調整も支援します。複数人の予定調整も容易になり、やりとりの回数を減らせます。
Teamsでの会議メモ生成・議事録の自動作成
Teamsのオンライン会議中、Copilotは会話の内容をリアルタイムで記録し、終了後に要点を整理した会議メモや議事録を自動作成します。 特に、複数の参加者が発言する会議では、誰が何を言ったかを明確に整理するのは手間がかかりますが、Copilotは発言の要点やアクションアイテムを抽出して整理するため、議事録作成の負担を大幅に軽減します。
PowerPointでの自動スライド作成支援
Copilotは、文書や箇条書きのメモなどをもとにPowerPointのスライド資料を自動作成することができます。たとえば、Wordで作成した提案書を読み取り、目的や背景、課題、解決策などの構成に沿ったスライドを生成する機能があります。 また、表現を洗練させたいときには、レイアウトや文章表現の提案も行い、より伝わりやすいプレゼン資料の作成をサポートします。
Copilotが業務効率化にもたらす効果
Copilotの導入は単なる作業支援にとどまらず、企業全体の業務効率や意思決定プロセスに大きな変化をもたらします。ここでは、Copilotが実際にどのような効果を生むのか、4つの観点から解説します。
反復業務の自動化による時間削減
日常業務の多くは、同じ作業の繰り返しで構成されています。Copilotは、定型メールの作成、会議議事録のまとめ、データ集計レポートの作成といった反復業務を自動化することにより、大幅な時間削減を実現します。 これまで手作業で行っていた作業にかける時間を減らし、より付加価値の高い業務へ集中できる環境を整備することで、組織全体の生産性が向上します。
情報整理・分析のスピード向上
業務において、情報の整理や分析は意思決定に直結する重要なプロセスです。Copilotは、複数のアプリケーションに分散された情報を統合的に処理し、必要なデータを瞬時に整理・可視化します。 たとえば、Excelのデータを読み取ってグラフを自動生成したり、Teamsでの会話から要点を抽出したりすることで、情報分析にかかる時間を大幅に短縮できます。
作業品質の平準化と属人化の防止
Copilotを活用することで、作業の品質を一定に保つことが可能になります。AIが一貫したロジックで文書や資料を生成・編集するため、担当者によるばらつきを抑える効果があります。 また、特定の社員のスキルや知識に依存する業務が減ることで、業務の属人化を防止し、引き継ぎやチームでの協働がしやすくなる点も大きな利点です。
意思決定の迅速化と精度向上
Copilotは、蓄積されたデータや関連情報をもとに、意思決定に必要な材料を短時間で整理・提示します。 たとえば、会議前に関連資料や過去の議事録を要約し、判断に必要なポイントを抽出することで、意思決定のスピードが向上します。また、感覚や経験に頼るのではなく、データに基づいた判断が可能になるため、意思決定の精度も高まります。
導入前に知っておくべきポイント

Microsoft 365 Copilotは非常に高機能なツールですが、導入すればすぐに活用できるわけではありません。運用を成功させるためには、事前に確認すべき条件や社内体制の整備が重要です。ここでは、導入前に押さえておくべき主要なポイントを解説します。
利用要件と対応環境
Copilotを利用するには、対応するMicrosoft 365のライセンスやクラウド環境が必要です。特に以下の条件を満たしていない場合、利用できない機能があります。
主な利用要件:
- Microsoft 365 E3 または E5 ライセンスなど(Copilotは追加ライセンスが必要)
- Microsoft 365 Apps(最新版)のインストール
- データ保存先がMicrosoftのクラウド(OneDrive、SharePointなど)であること
- Microsoft Entra ID(旧Azure Active Directory)によるユーザー認証の構成
- インターネット接続と最新のセキュリティアップデートが適用されている環境
既存のIT環境との整合性も確認し、必要に応じてライセンスの調整や環境構築を行うことが求められます。
利用に伴う情報セキュリティとガバナンスの確認
Copilotは組織内のメール、ファイル、チャット履歴などにアクセスして動作するため、情報セキュリティとガバナンスの観点からの事前確認が不可欠です。
確認すべき事項:
- アクセス権限の管理:ユーザーごとにどのデータへアクセスできるかを適切に設定
- データ保持ポリシー:Copilotが参照するデータの保存期間や削除ルールの整理
- ログ・監査記録の整備:AIによる操作内容を把握できるログ管理体制の構築
- Microsoft Purviewなどのガバナンスツールによる統制・可視化の活用
これらを適切に設定することで、企業の機密情報がAIの誤使用によって漏洩するリスクを低減できます。
社内へのAI活用の理解促進と教育の必要性
Copilotを活用するためには、従業員一人ひとりがAIの役割と使い方を理解していることが重要です。高度な機能を備えていても、利用者の理解が不十分であれば本来の効果は得られません。
教育に含めたい内容例:
- Copilotの基本的な操作方法
- 業務での活用例(文書作成、要約、議事録生成など)
- 情報の扱い方に関する注意点(誤操作時のリスクや個人情報の入力制限)
- AIができること/できないことの理解促進
導入初期にはハンズオン形式の研修やQ&A対応を実施し、全社的なAIリテラシーの底上げを図ることが、長期的な定着につながります。
Microsoft 365 Copilot導入でよくある課題と解決方法

Microsoft 365 Copilotは高機能なツールである一方、導入後に思うような効果が得られないケースも少なくありません。ここでは、実際の導入現場で発生しやすい課題と、その解決方法について解説します。
導入効果が見えにくいケース
Copilotを導入したものの、「何がどう改善されたのかが分からない」と感じる企業もあります。この背景には、具体的な活用目標や評価指標が設定されていないことが挙げられます。 AI活用の効果は、業務のスピードや品質に徐々に現れるため、短期的には成果が見えにくいこともあります。こうした場合は、導入目的を明確にし、改善対象業務を絞って効果を測定することで、成果が見えやすくなります。
社員の利用定着が進まない問題
せっかく導入しても、現場で十分に活用されないという課題もあります。特に、AIへの不安やツールへの慣れ不足が要因で、利用が進まないケースが見られます。 この問題には、初期段階での研修と具体的な活用例の提示が有効です。自分の業務にどう活かせるかを理解できることで、利用意欲が高まり定着しやすくなります。また、部門内に活用推進役を設けることで社内浸透が進みます。
データ整備不足による出力品質の低下
Copilotは、社内データを基に出力を生成するため、データが整理されていないと結果の品質が下がる傾向にあります。たとえば、ファイル名が不明瞭だったり、古い情報が混在していたりすると、生成される文章や分析結果が不正確になる可能性があります。 この課題への対策として、ファイルや情報の構造化、アクセス権限の見直しが必要です。また、社内での情報管理ルールを明確にし、運用レベルを一定に保つことで、Copilotの出力精度を安定させることができます。
まとめ
業務の複雑化や人手不足が課題となる中で、日々の作業にかかる負担をいかに減らすかは多くの企業にとって共通の悩みです。特に、情報整理や文書作成、会議対応などの定型業務は、生産性を阻害する要因になりがちです。
Microsoft 365 Copilotを活用すれば、生成AIの力でこうした反復業務を自動化し、業務スピードや品質の向上を実現できます。各アプリケーションと連携した活用により、従業員の業務負荷を軽減し、企業全体の働き方改革を後押しします。
AI活用を業務改善の第一歩として検討している方は、自社の課題と照らし合わせながら、導入環境の整備や運用体制づくりを進めてみてください。効果的な導入に向けては、専門的な支援を受けることが導入をスムーズに進めるうえで役立ちます。


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